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俳優矢崎広くんと若手俳優さん中心の舞台観劇&映画ドラマ感想ブログ

小林賢太郎演劇作品『ノケモノノケモノ』


天王洲銀河劇場
5/24ソワレを観てきました


一流自動車会社に勤めるハラミヤ(音尾琢真)が寂れた田舎の小さなバス停で謎の人物イルマ(小林賢太郎)に出会い不思議なバスに乗るところから始まる物語。
一流企業に勤め、一流ブランド品を身につけ、“特別になりたい、けれど人と同じでありたい”というハラミヤにこの世のありとあらゆる生命の誕生の話をするイルマ。
1人の創造主の手によって生み出された生命は、皆創造主が作り出した設計図を持っている。生態はもちろん、個々の誕生から未来の事まで全て書かれている設計図。
不思議な街に到着したバス。元の世界に戻る為その街を散策するうちにハラミヤは自身を問われ続ける。世間の評判等通じない世界で、個人のアイデンティティを問われた時彼は初めて考える。自分とは一体なんなのか。世間から切り離した時、自分が自分であると言えるものは何なのか。自分は生命を生み出す時に余った素材を寄せ集め作られた、“ノケモノ”なのか。

爪を振り上げ威嚇してくる蟹たち。自分が一番強いのだと主張する。他の全ての蟹も同様に威嚇していることにも気付かず、自分だけが強いのだと。ああこれは俺のことだ。
周囲の変化によって色を変えるカメレオン。本来の色もわからなくなる。ああ、これも俺のことだ。

創造主に会い、自分は何者なのかと問うハラミヤ。特別でありたいけれど人と違う事は怖い。自分が何者なのかと問い続ける。それはまさに“人間”という生命体の設計図。
一流企業の名刺があるから、一流ブランドを身につけているから、皆が興味のあるものに興味があるから、だから自分はノケモノじゃないんだと思ってきた。けれど、ノケモノ等と言う生き物は存在しない。それは自分がノケモノになりたく無いと思った時、初めて生まれるケモノ。

自分の他にもこの世界に迷い込んだ人間がいる事を知るハラミヤ。実はイルマも創造主がいる世界の住人では無く現実世界の住人だった。しかし彼は他の生命体とは違う。創造主が造り出した、自然の生命体では無く、化学が神の真似事をして造り出した人間。だから彼には設計図が存在しない。
70億人分ある全世界の人間の設計図を読み尽くしているイルマ。それでもやはり彼の設計図は無い。しかし何故自分を連れて来たのかと問うハラミヤに、貴方の設計図に私と出会う事が記されていたからと答えるイルマ。貴方の設計図に私の名前を見つけた事が嬉しかったと語るイルマに、ハラミヤは再会の約束をする。創造主の設計図は完璧では無いということを添えて。

現実世界に戻ってきたハラミヤはありのままの自分を受け入れる。自分が田舎者であること、ミニカーを集めるのが好きだった事、そして一流企業だからではなく、車が好きだから今の会社に入ったということ。それは誰かの言葉ではなく確かにハラミヤの言葉。

自分とは何なのか。個人とは何なのか。かなり哲学的なテーマだけれど、全体に流れるファンタジックな世界観と音楽と、小林賢太郎手書きの沢山のイラストに囲まれとても穏やかに優しく語られる。移動しどんどん形が変わってゆく背景パネルの演出がまた面白い。
誰かに考えを強制されるわけではなく、自分で考え行動し、そうして自己を見つめ直す事で自己を知る。
イルマはきっと“入間”なんだろうな。“人間”では無く“入間”。設計図の無い彼だからこそ、何にも囚われる必要は無いんじゃないかと思った。ハラミヤがハラミヤであるように、入間は入間なんだと。
キラキラと流れる小川の清水が美しかった。世界は美しい。

とても心地良い余韻に浸れる作品だった。時間的にも1時間40分はとってもちょうどいい長さ。疲れる程の長さでは無く、終わった後余韻に浸りながら色々な事を考える事が出来る。
音尾君良いなあ。何度も何度も「俺は何だ」と問うシーン、何通りもの「俺は何だ」が圧巻。観ているこっちが苦しくなる。
高橋君もとても良かった。良い声してるわー。蕎麦屋とハンターがお気に入り。
辻本兄さんはもう安定ですね。器用で万能だなあ。
小林さんはいつもの小林さん。自分に一番美味しい役をあてがうのもやっぱりいつもの小林賢太郎(笑)
イルマの帽子に羊の角がついてたのって、あれってクローン羊のドリーって意味なんだろうなあ。羊の角かわいい。
「お前は何者だ」と問われた時、私だったら何て答えるだろう。何て答えられるだろう。
全国ツアーは始まったばかり。これ全国回ってどう変化していくのか、もう一度観てみたいなあ。
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カテゴリー:舞台
テーマ:観劇  ジャンル:学問・文化・芸術

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