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俳優矢崎広くんと若手俳優さん中心の舞台観劇&映画ドラマ感想ブログ

パルコ・プロデュース "ねずみの三銃士"第3回企画公演『万獣こわい』


新潟市民芸術文化会舘りゅーとぴあ 劇場
4/19マチネを観てきました。




今回A席で取ったら3階席3列目だったけれど、3階席でもちゃんと傾斜がついていて前の人の頭が邪魔になる事も無くとても観易かった。さすがにオペラグラスは手放せなかったけど。
寄席のセットで落語『まんじゅうこわい』から始まり、分り易く演目を説明される。まんじゅうこわいを知らない人はあまりいないとは思うけれど、ここで説明されるからこそ後半の「なるほど!」に繋がるんだなーと。
OPにて過去のねずみの三銃士演目の映像が流れる中生瀬勝久・池田成志・古田新太さんの三人が『感動しない、泣けない、笑えない、なんだか良くわからない』と歌い踊る。なんだそりゃと思っていたけれど終演後はまさにそういう感想になったから凄い。
ストーリーはとにかくえげつない。モデルになっているのは間違い無く実際に起きた事件、世に言う『北九州監禁殺人事件』だろう。だろう、というかほぼ事件内容はそのままだったように思う。この事件もまた日本犯罪史に残る極悪非道事件として、裁判長が被告人に対し「鬼畜の所行」と発言した事も含め大変有名な事件だけれど、この事件が今ではあまり報道されていないのはあまりの事件の残虐性に報道を自粛しているとか、被害者=加害者となる特殊な事件性に遺族が報道規制を訴えたからだとか色々と言われている。それほどに胸くそ悪い最悪の事件だ。それを題材としているのだから胸くそ悪くなって当然なのだけど、更に胸くそ悪い事に七年間監禁され虐待されてきて、奇跡的に逃走出来た事で唯一の生き残りとなった少女(これは史実の話ではなく舞台のストーリーの話)が、成長した後自分もまた全く同じ監禁殺人事件を起す加害者になるという流れにある。命からがら監禁から脱出し、一家全員目の前で殺害され更に自らも殺害や死体損壊を手伝わされた不憫で可憐な美少女はトラウマを克服しようと必死に生きてきた。しかし七年間という監禁生活は彼女の中の悪魔を目覚めさせてしまった。
怯えるフリをして「お爺ちゃんを殺さないで」と泣いて犯人に縋れば犯人の加虐心を刺激し祖父が殺害された。それに味を占めて、家族全員を死に追いやった。それこそ、落語『まんじゅうこわい』のように、「お父さんが殺されたらどうしよう!こわいよぉ」「お姉ちゃんが殺されたらどうしよう!こわいよぉ」「お母さんが殺されたらどうしよう!こわいよぉ」……そうして生き延びてきた少女は、自分を監禁の地獄から救ってくれた筈の喫茶店経営の夫婦の元へ転がり込む。そうして様々な人を巻き込み、彼らの弱みを握り、お互いに不信感を植え付け互いに虐待させることで自分が被害者であった筈の事件と全く同じ犯行をするのだ。可憐でいたいけな、何の汚れもない少女の顔をして。
マインドコントロールされていく過程が非常に生々しく描かれ、逃げようと思えば逃げられるのに逃げる事を出来なくさせる様子が本当に胸くそ悪い。少女の役が夏帆なんだけれど、また可愛いのがもの凄く怖い。
最後までなんとか正気を保っていた(それでもかなり狂っている)奥さんに、最終的にすべての罪を被せて少女は何の罪にも問われない。殺人を強要したわけでも自分の手を汚したわけでも無い、折れそうな程細い腕をした可憐な少女は怯えたように証言台に立つ。「すべては奥さんが犯したこと」だと。

忌まわしい事件の舞台となった喫茶店は売りに出される。その物件を買ったのは、最初の事件の犯人ととても良く似た人物。そして『終』の文字が出て幕が降りる、と思ったら、その『終』にスプレーで大きく×が書かれる。まるでこの悪夢は終わらないとでも言うように。

殺人描写の生々しさと、まるでその重さを無視した笑いどころ、軽快なダンス。どれもがアンバランスでとってもえげつなくて胸くそ悪くて後味最悪でトラウマになりそうな舞台だった。まさに『感動しない、泣けない、笑えない、なんだか良くわからない』けど何だかもの凄いものを観た感。精神的にかなりきた……。
夏帆が凄い。可愛い。だからこそもの凄く恐ろしかった。しばらく夏帆が怖いってなりそう。
大変アブノーマルで濃縮度の高いガッツリ飯大盛りを食べた気分。自分の体に血の臭いが染み付いていそう。
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カテゴリー:舞台
テーマ:観劇  ジャンル:学問・文化・芸術

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俳優矢崎広くんが好きです。
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