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俳優矢崎広くんと若手俳優さん中心の舞台観劇&映画ドラマ感想ブログ

『三銃士~仮面の男~』長々とした感想


ようやく色々と落ち着いたので、三銃士の感想などをつらつら書こうと思います。
記憶があいまいで、台詞が若干間違っているかもしれませんがご容赦ください。



アクサル13回公演『三銃士~仮面の男~』神奈川公演の3/10マチソワと3/11千秋楽を観てきました。
初めてKAATへ行ったのですが、大ホールは凄く観やすい劇場でした。傾斜がわりときつめについていて、ひじ掛けの無い席が窮屈感が無くて良かった。
個人的には、前から3列目下手だった時が一番観やすかったかなと思いました。
でもどこから観ても、観にくいってことはなかったと思います。
3/10はマチソワどちらもカメラが入っていたので、DVDに入るのはこの日の公演なのかなと。
個人的には大阪のも観てみたかった…。

開場アナウンスは悪役のジュサック(やまけんさん)、ミレディ(古川さん)、ロシュフォール(柄谷さん)、リシュリュー(武原さん)の4人。
雷鳴から始まるオープニング。とにかく、ダンスが素晴らしくかっこいい。
チェスの盤に見立てた舞台で激しいダンスを繰り広げる男性ばかり20人弱というのは圧巻でした。風が届く。
三銃士とダルタニアンの殺陣が美しい。風のように舞う剣先。
捕えられたフィリップが仮面をつけられるシーンは公開稽古で観たことがあったのですが、その時の叫びが凄く耳に残っていて、それを実際に舞台で正面から観た時はぞくぞくと鳥肌が立ちました。
「僕が何をしたっていうんだ!」と叫ぶ声が会場の空気を震わせる。
この時フィリップに仮面をかぶせたのは若アラミス。3回観て気付いたのは、牢獄に入れたフィリップを後ろめたそうに振り返り眺めてから立ち去っていたこと。この後を予感させる演出。

ルイとフィリップは、もちろん矢崎広が2役を演じているのだから同じ顔をしているはずなんだけれど、どうしてここまで別人に見えるのだろうかと不思議でならなかった。
フィリップは猫背気味に背中を丸め、小さな声でか細く喋る。ルイは逆に傲慢な態度で常に胸を張り、肩をいからせて上から物事を喋る。大きな身振りのルイと、繊細な指先の動きをするフィリップ。とても似ていない双子。
衣装と前髪で区別されているけど、どちらなのかは衣装を着ていなくても目で分かる。とにかくルイの目が怖い。常に見開き血走った目。でもどこか泣きそうな目。

アトスが自分の息子、ラウルの死を知った時が素晴らしいと思った。
「私の全てだったんだ…」と声を震わせるアトスに目頭が熱くなる。静かな雨音の中の震える声は、辛い。

アトスとダルタニアンの戦いが、若き日の三銃士とダルタニアンがロシュフォールと戦った時にクロスしてゆく演出は凄く良かった。
喧嘩をしながら徐々に仲間と認められてゆくダルタニアン、そのダルタニアンとアトスが今剣を交えている悲しさ。

アダルト四銃士の悪役は凄く楽しそうだった。ロシュフォール柄谷さんとか、ミレディ古川さんとかめちゃくちゃ生き生きしていた。
ジュサックやまけんさんの槍術が!ものすごくかっこよくて!長物を軽々と振り回し、ぴたっと止める見せ方がひたすらかっこよくて!

若四銃士たちは、ほんとに若いなーそして馬鹿だなーと微笑ましさすら感じながら観る。
でもその彼らがアダルト組と対比した瞬間、アダルト組がものすごくかっこよく見えるあの演出はやられる。

パスティーユに捕えられた仮面の男、フィリップを救出に行くシーンは面白かった。
地味にデブ、そして無駄に双子ww
ポルトスが身代わりを連れてくるシーンでのフィリップの演技は大阪では無かった部分らしく、マントの中から登場した身代わりの仮面の男に対して「う、生まれた…立ち会って、立ち会っちゃった…こ、このたびはおめでとうございます」っておびえた声で言うフィリップが可愛いやら面白いやら。
そのあとの「迷える小ネズミ」「ひつじ…」「小ネズミ」「ひつ…はい、それでいいです」もとにかく可愛い。なよなよとしたフィリップは声が高めで実に愛らしい。

仮面を外されて、自分の顔をぐしゃぐしゃと触りながら鏡を見るフィリップ。わけのわからない混乱と怯えが入り混じったぼんやりとした表情から徐々に目に光を宿してゆく。
「僕は、自分を貶めたひとを許せません」と語ったフィリップは、もしかしたらこの時点では本当に兄を恨んでいたのかもしれない。
思い切り背中を叩かれて、一瞬我慢するんだけどやはり痛みに耐えられなくて崩れるのがひ弱で可愛い。フィリップに対してはとにかく可愛い。
でも確かに、大柄なポルトスに思いっきり叩かれて大声出されたら怯えるよ誰だってw

一方王宮ではダルタニアンがアトスの逮捕命令を取り下げるようルイに嘆願する。
しかしダルタニアンの声は固い氷で覆われてしまったルイの心には届かず、ただただ跳ね返るばかり。
近衛兵の中から飛び出してくる暗殺者に逆上して、逆に暗殺者を自ら殺してしまうルイ。
目を見開き、夢遊病患者のようにふらふらと歩き、近衛兵を恫喝する姿はまるで狂人のよう。
ダルタニアンを銃士隊長から退かせる命令に反発され、ついに「なぜ余の言う事が聞けない!」と声を荒げる姿は痛々しさすら感じる。
傲慢で、不遜で、我儘な王であるはずなのに全てが思い通りにならない不自由さ。窮屈さ。そして誰もが自分の命を狙っているのではないかという恐怖。ルイがどんどん壊れてゆく。

三銃士たちの特訓により徐々に剣の腕を上げてゆくフィリップ。話し方にも自信が出てくる。
若四銃士達とその姿が重なり、アトスと若アトス、若アトスからラウルへ。息子に剣を教えたことを悔やむアトスに、ラウルは幸せだったはずだと言うフィリップ。心の優しい王に見える。
『One for all,all for one.』若き三銃士と、大人になった三銃士たちの声が重なる。言葉は同じでも、年月でその言葉の重みが変わってくると言うアトスの台詞は重い。

王の衣装を仕立てる為仕立て屋へ向かう三銃士とフィリップ。
モリエール役蔡さんがとにかく美しい。この人に重力というものはないんだろうか…
ルイの衣装を着るフィリップ。同じ顔で、同じ衣装のはずなのにやはり別人の顔。このあたりはとにかく見てとしか言いようが無いのだけど、とにかく顔が違う。
仕立て屋のシーンで、ライトが当たっていない時にずっとぴろしがやまけんさん、古川さん、武原さんにいじられていて可愛らしいwアクサルの中で弟分みたいな感じなのだろうか。

ルイの衣装を着て不安げなフィリップが踵を返して背中を向ける。
舞台の中央を歩いてゆく。
真ん中あたりで、おもむろに前髪を掻き上げる。
すると、歩き方が大股に変わる。
振り返り、ダンスの合図をする姿はもうルイになっている。
このシーンでとにかく鳥肌が立った。目の前で、衣装のチェンジもなく、ただ前髪を上げただけで振り返る前と後では全く顔が違った。
顔どころか、一回り大きくなったようにすら感じた。
上手く表現できないのがもどかしいのだけど、凄いとしか言いようがない。
「あっ」と声が出そうになった。

仮面舞踏会。白い仮面をつけた男たちの剣舞。そこに紛れ込む、鉄仮面をつけた男。
確かめる為、ダンスの中心へ入ってゆくルイの目に写ったのは重々しい仮面をつけた男。
仮面をつけた蔡さん(というか、このシーンはモリエールではなく、あれはきっと誰でも無い抽象的な存在)が文字通り飛び出してくるシーンは物凄いインパクトで今でも目に焼き付いている。
恐れていた仮面の男との対峙。鏡合わせという演出。思わず、自分の顔に仮面が無いことを確認するルイ。
混乱と、恐怖と、ついに来たのだという確信に怯えてえずく姿は痛々しい。
もしかしたら演出ではないのかもしれないけれど、私はルイが苦しみの中天に掲げた腕と、オープニングで牢獄に入れられたフィリップが助けを求め掲げた腕が同じように見えた。
三銃士達に眠らされ、明転した時にそこに立っているのはフィリップが扮したルイ。

ルイとフィリップの入れ替えが失敗に終わり追われる三銃士達。
怒号が飛び交い、剣の交わる音や銃声が響く中今や仮面の男となったルイと、豪奢な衣装に身を包んだフィリップが対峙する。
そこで明かされる衝撃の事実。
「兄さんさへ死ねばお前だって、とずっと聞かされてきた。今ではもう、僕の方が立派な王かもしれないね。影武者は貴方の方だったんだ、兄さん!」
殺されるはずだったフィリップを生かし、そして牢獄に入れた張本人であるアラミスはその言葉に動揺する。
自分が自分の意思でしたと思っていたことは、全てフランス政府のたくらみだったのか。自分はただの、駒にすぎなかったのか。
混乱の中、再び若四銃士とロシュフォール達の戦いとクロスしてゆく。
ジュサックを倒し、ミレディを倒し、しかしアトスがロシュフォールの剣に倒れる。
それに対し、現在では銃士隊が放った銃弾がフィリップを貫く。
「三銃士にはもう一人仲間がいた。しかし死んでしまった。だからこそダルタニアンを仲間にすることに反対していたんだ」
アトスの想いを聞かされるダルタニアン。
「貴方の人生をもてあそんでしまった」
「ありがとうございます、生かしてくれて」
「こんなところにまで連れてきてしまった」
「ありがとうございます、兄に合わせてくれて、王宮の夢をみせてくれて」
アラミスの懺悔を許すフィリップ。

「あの男が撃たれたか!」
と笑うルイにダルタニアンが弟君ですよ!と噛みつく。
どんどん壊れてゆくルイは、目を見開き、歯を見せて、泣きそうな目でにらみつけて笑う。そのアンバランスな笑顔がとにかく怖い。そして痛々しい。
しかしその場に現れたダルタニアンの従者プランシェにより、牢獄の中でのフィリップの言葉を知る。
「僕にも双子の兄がいます、僕を殺そうとした兄が」から始まるプランシェの台詞は徐々にフィリップの声に重なり、同化し、そして再びプランシェの独白で終わる。ここの演出はとても綺麗だった。
なにより、ルイが背中を向けフィリップになる瞬間、一瞬だけ本当に泣きそうな表情をしていたと聞いて胸がいっぱいになった。
「きっと誰よりも辛い兄と、代わってあげたい」と願う弟の言葉につに心うたれるルイ。しかし残酷なことに乱入してきたフーケの「騙されてはいけません陛下!こいつらも三銃士の仲間です!」の一言に溶けようとしていたルイの心が再び凍ってしまう。それも、より固く。
「貴様も余を謀るのか!」と叫ぶルイはただ切なくてたまらない。どれだけの謀の中にたった一人身を置いてきたのか。もう、誰の言葉も届かなくなってしまった。
「もう誰も信じない!奴を殺せ!」と悲鳴のような声。フィリップを殺してはいけない、彼と貴方は合わせ鏡なんだと訴えるダルタニアンの声も全てはじかれる。
「奴は違う!奴は影だ、太陽の光を奪う月だ!」ルイの言葉に違うんだと首を横に振りたくなった。
「なぜ一人も殺せない!銃士隊は王の精鋭部隊だぞ」の言葉にダルタニアンが悲痛に叫ぶ「その礎を築いたのは、彼らです!」に毎回涙腺が決壊する。
特に千秋楽が、迫力というか熱気がものすごくて、このあたりですでにぼろぼろと泣いていたような気がする。息をするのも忘れるほどのとがった言葉のやり取りにもうやめてと叫びたくなる衝動。

フィリップが撃たれ満身創痍となった三銃士と若四銃士。そして迷い続けるダルタニアン。
現四銃士と、若四銃士の刃が交える。
若四銃士達の希望の言葉を、絶望した四銃士達が否定する戦いはとにかく見ていてつらい。あの頃は良かった、でも、子供だった。
身も心も傷つき、疲れ切って膝を折る彼らの前に現れたのはフィリップ。
「諦めないでください」と静かに語りだす言葉は、千秋楽はもう枯れた声ではあったけど、だからこそ真摯に聞こえて涙が止まらない。
「光と影は優劣ではありません、ともにこの大地に広がっているではありませんか」ルイの台詞を聞いた後にこの台詞は、はっと目を覚ましてくれる。
「僕は田舎でもパスティーユでも守られて生きてきました、沢山傷ついた兄さんのほうが王にはふさわしい」沢山傷つけられ、虐げられてきたフィリップの言葉。そう言える君だからこそ、王になってほしい。
「兄を助けてください。この国を助けてください!」最後には絞り出すような懇願の叫び。思わず、彼らが膝をつく大地を見る。
その言葉からの四銃士たちの再生。ダルタニアンが迷いを振り切った瞬間。目の前に光が差す。

「たとえこの大地に我らの屍が横たわろうとも、せめて思いを残して死のう」

彼らの踏みしめる大地に眠る、たくさんの者の為にもこの国を守る。そう聞こえた。

結局四銃士達はどうなったのか、ルイは、フィリップはどうなったのか結論を出さないままラストのダンスへ。
ただ、その演出が色々とその後を想像させてとてもいいと思った。
最後衣装を脱ぎ、シャツとスラックスだけの姿となった矢崎広へスポットライトが当たる。
後に太陽王と呼ばれる王。
衣装が無いとどちらかわからない、うつむく表情でもやはりどちらかわからない。それが良い。
でもどうか、フィリップがその暖かい心でルイを抱きしめてやれる日が来ますようにと思ってしまった。


千秋楽後、最初の放送でもあった通り出演者、客席全員で黙祷。
3月11日という日にこの舞台が観られて本当に良かったと思った。
やりきったというすがすがしい笑顔に心からの拍手を贈れて良かったと思った。
強く握った拳を天に突き上げた矢崎広という役者に心の底から感謝とエールを。


とにかく素晴らしい舞台だった!というのを伝えようとしたらものすごく長くなりました。失礼しました。
メモ帳で打ってから流しているのに削れなかった…
ぴろしファンになったのはほんの最近なので、彼の生の演技を観るのは三銃士が2作目です。
彼の演技は全力投球で思いっきりぶつかってくるなという印象。強い衝撃を受ける。そんな印象。
素晴らしい2役の演じ分けだったと思います。ルイの強さと悲しさ、フィリップの悲しさと強さ、三銃士という舞台での役者矢崎広を観れた事が幸せでした。
千秋楽後急いで池袋の30-DELUXのイベントへ行ったのですが、そっちのイベントはまた機会があったら書こうかなと思います。こんなに長くはならないはずw

8月に初の単独主演舞台も決定して楽しみで楽しみで仕方がありません。
こんなに途切れなくぴろしの演技を生で観られるなんて本当に幸せ。
劇場に若干の不安はありつつ、8月までびっしりの予定に節約生活をしようと思います…
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カテゴリー:舞台
テーマ:観劇  ジャンル:学問・文化・芸術

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