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【映画】この世界の片隅に


2017/01/07 映画館で観賞
監督:片渕須直
この映画はクラウドファウンティングによって資金を集め製作された、幾多の人々の思いが詰まった作品だ。そんな作品が公開され、たちまち評判となり口コミで広がりどんどん上映館数を増やしていき地元映画館でもやっと公開された。それはもちろんクラウドファウンティングに参加した人々のおかげであり、口コミで広がった評判に応えた映画館のおかげでもある。映画本編のエンドロール後にクラウドファウンティングに参加した皆さんの名前がクレジットされた映像を観ながら、この映画を観ることが出来た噛み締めた。

私がこの映画の存在を知ったのはTwitterでの口コミだった。地元では上映されていない映画だったし、名前すら知らなかったが観た人観た人大絶賛していてそんな評判に押され更に観る人が増えていくにつれどんな作品なのか段々気になって来る。だが地元では上映されていない。ソフト化してからレンタルしてみようと思っていた。
だが昨年末から地元のシネコンの方では無く、ミニシアターである高田世界館にて上映が決定し、この機会を逃すわけにはいかないと観に行った。世界館ではロビー(と言ってもとっても狭い空間)に複製原画が飾られ関連書籍も売られていて更に期待値は上がる。なによりこの高田世界館というミニシアター、建物がとにかく古い。明治時代に建てられ(当時は芝居小屋だった)大正時代から常設映画館となった、現在では国の有形文化財に指定されている日本で最も古い映画館のひとつだ。天井がとっても美しい。詳しくは公式サイトをどうぞ。
そんな戦前から存在する映画館で「この世界の片隅に」を観るという事そのものがとても貴重で愛おしい経験だった。

こうの史代原作漫画のアニメ映画化で、物語は第二次世界大戦下、広島で生まれた絵を描くことが大好きな少女浦野すずが軍港で知られる呉に嫁ぎ、終戦を迎えるまでの話。
戦争の話と知って暗く重苦しく悲惨な話を最初は想像した。なんといっても主人公すずの生まれは広島なのだから、日本人ならば誰だって悲惨なイメージをするだろう。だがそんな予想とは裏腹に柔らかいタッチの可愛らしい絵柄でのんびりと穏やかに、しかし地に足の着いた“確かに我々の地続きに存在した人々”の日常が展開されてゆく。
朝起きてご飯を作り、夫を見送り、家を掃除し、近所付き合いをし、食糧を調達し、晩ご飯を作り、お風呂を湧かして入り、眠る。そんな当たり前の日常の風景がそこに描かれている。
特に食べ物の描写が細かくて面白い。どんどん配給される食糧が少なくなって行く中、悲観的になるわけではなくその少ない配給の中どうやりくりするのか、そういう創意工夫で慎ましくも穏やかに生活する家族の風景が愛おしい。着物を裁断してモンペに仕立て直したりするのも生活感に溢れ、すずたちがそこに生きているのだと思わせてくれる。戦時中という時代が教科書の中の歴史の1ページという認識から、確かにそこに生きて“生活していた”と強く思えた。
すずは大人しく少し抜けたところのある女性だが、絵を描く事が大好きでそれが彼女の生きる強さに繋がっている。そんな彼女に自由に絵を描かせてくれる北條家の人々の心の豊かさ、寛容さもまた愛おしい。
だからこそ、中盤の悲劇により一気に日常が崩壊してゆく様に胸がどきどきして苦しかった。大切な存在と大切な右手を失った彼女の世界から色が消え、歪んで見える様を文字通り利き手では無い左手で描いたような絵で表現する圧倒的なビジュアルのインパクト。これまでの柔らかく優しいタッチから一変した世界。「あのときああしていれば」と悲劇を後悔し自分を責めるすずが苦しいが、娘を喪った義理のお姉さんが酷くすずを責める気持ちを誰も止めることは出来ないし、お姉さんもまた狂いそうな悲しみと憎しみと後悔を抱えきれずすずにぶつけてしまっているのがわかるからこそ苦しみが倍増する。
それでも生き残った彼女たちはご飯を作り生活していかなければならない。生きているのだから。

終戦の日、玉音放送を聞きながらこれまで感情をあまり表に出すことの無かったすずが激怒し慟哭し泣き崩れる様に私の涙腺も完全に決壊した。普段あまり映画でも舞台でも泣かないのに、こんなに映画を観て泣いたのは生まれて初めての経験なのでは、と思うほど泣いた。
原爆をふたつも投下されたら日本も負けを認めざるを得ない。そんな日本という国に対しすずは「そんな覚悟も無かったのか」と激怒する。そんな覚悟も無いのに戦争を始めたのか、自分達は何の為に大切なものを失い貧しい生活をおくって来たのか、喪った人々は何の為に亡くなったのかと、そんな思いがあったのだろうと私は解釈した。
それでも生活していかなければいけない。いつもと変わらずご飯を炊き、終戦の日もまた家々からかまどの煙が上がっていく光景がたまらなく愛おしかった。そして戦時中には遮られていた家々の明かりが灯っていくのがまた素晴らしい。

すずが周作に言った「この世界の片隅に、ウチを見つけてくれてありがとう」に更に泣きまくった。周作が本当に良い人で……最初は突然の嫁入りで夫である周作との間には遠慮や他人行儀さが見えたが、その関係性がどんどん変化してゆくのがとても愛おしい。愛情が芽生えてゆく様が瑞々しくて照れ臭いほどだ。
ずっと摩擦のあった義理のお姉さんとの関係も徐々に修繕されていって良かった。彼女もまた酷く苦しんだ人だから。

最後の孤児の子に関して、あの子はリンちゃんだって解釈を見てまた泣きそうになる。リンちゃん……!彼女が最期のとき、ひとりぼっちじゃなければ良いなあ。

確かに悲しい出来事はあるけれど、それでもすず達が確かに生きてそこに存在していると思わせてくれた非常に素晴らしい作品だった。色々な人が言っているけど主人公すずの声を演じたのんさんの声が本当に良いなー!もう点数とかつけられない……この先もずっと私の中に残り続けるであろう作品を見せてくれたくれたあらゆる人達に感謝したい。
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カテゴリー:映画
テーマ:映画感想  ジャンル:映画

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